Halloween
アメリカでの生活は1ヶ月も経つと語学面ではコミュニケーションにもあまり苦労を強いられることも無くなり生活も肌に馴染んできた。初めの何もかもが新鮮に感じられた時期はとうに過ぎて、同じような日々を過ごす感覚は日本のそれと変わらなくなりつつある。
案外こっちでの生活は居心地が良く、ホームシックにもならない。なんならあと数年こっちで暮らしても悪くないと思えてくる程だ。
もちろん、飯ならそこらのラーメンまがいの麺類やタイ米を使った料理なんかより武蔵屋だし吉野家の方が格段に安いし旨い。バスの運行も先進国とか言われているくせに未だに30分くらいは平気で遅れてフラストレーションを禁じ得ない。
けれども、そんな生活の不便さを差し引いてもこっちでの生活には有り余る良さがある。
その良さの一つは、留学という時間の特殊さだと思う。
これは海外旅行に行く時に、日本の事はすべて保留にしてパーーッと楽しもう。的な感覚に似ている。
僕は来年就活を控えている修士の1年で、再来週には中間発表があって、卒業までには単位を取って、研究もそこそこ成果を出して、就職先も探して…etc
僕は今こんな日本で持っていた社会的な立場をすべて保留にしている。
一方アメリカでは、大学院の研究生としての身分はあるものの、良くも悪くも1年しかいなく、学位も取らない留学生に対してはあまり期待はされていない。
つまるところ、この1年で僕が果たさなければいけない社会的な責任はほぼ無い。(もちろん自分が立てた目標はあるけども)
今まで、所謂エスカレーター式で外から課せられた課題を綺麗にこなすことに粉骨してきた自分にとって、外からの干渉(親からも)がほぼ無く、自分の振る舞いを自分で考える必要がある環境は非常に特殊な時間だと言える。
何も大げさに留学してまで語るようなことじゃない。と言われるかもしれないが、意外と日本に居ながらにして自分の人間関係や立場を切り離して行動する事は相当なメンタルを持ってないと出来ないことだし、周りからの理解も得られにくいと思う。
少なくとも、僕には無理だ。
もちろん留学の目的自体には成り得ないだろうけども、留学をすることで副作用的にでも自分が一度日本の関係から離れて客観的に考える良い機会が得られる事は確かだ。
今週を振り返ると、ハロウィンという言葉に釣られて、新型のiphoneのコスプレを作ってパーティーに参加し、帰りには飲み過ぎた友人(初対面)を深夜に家まで送り届けるなど、考えたとは思えないしょーもない事に時間を割いてしまった感が否めないww
(コスプレは仮装コンテストで優勝したから後悔はしていない!)
この先10ヶ月弱の特殊な時間、もう少し大切にしていこうと思う。
アメリカの大学院に来てヒシヒシと感じたこと
(写真: Suzzalo Library at University of Washington)
シアトルに来て早1ヶ月、日本の友達がSNSにラーメンの写真を挙げるとダークな気分になる事以外は特に不自由もない。この一ヶ月間色々と思うところがあったけど、大体は薄れていってしまうので備忘録程度にブログなるものを始めてみることにする。
きっと現代に生きてたならブログを書いてみたいなっ〜〜と思ったであろう小野妹子の気持ちが今ならよく分かる。
(出典: ギャグ漫画日和 小野妹子)
さて、僕はアメリカのワシントン大学というところでところで半導体の研究をしているわけである。今回はそんな中でアメリカで研究することについて思ったことを書く。
キーワードは
実力主義・競争的
といったところだろうか。
〜 留学初日、 学生室にて〜
自分「今日からお世話になります〜、よろしくお願いします!」
上司Dr「よろしくっ!」
自分「よろしくっす!ところで僕のデスクはどこでしょうか!?」
上司D 「残念だが、無い!(Unfortunately, not...)」
自分「・・・・・・・」
はっwwwww?
(引用:ドラマ「ライフ」岩本みどり「お゛め゛ぇ゛の゛席゛ね゛ぇ゛がら゛あ゛!」より)
何故なのか。。。
留学早々このことは結構なメンタルダメージだった。
だってラボのデスクといえばパソコンでネットブラウジングをしたり、どうでも良い雑談に同期と花を咲かせたり…
と大学院生にとって大事な居場所ではないか。僕は早々に爪弾きにされるようなことをしたというのか。
否である。この理由は至ってシンプルであり、最近この学生室を持つ研究グループへの投資が減っており、研究に使えるリソースが減っているのだという。
〜翌日の学期始めオリエンテーションにて〜
そこでは僕の属するMaterial Science and Engineering(通称:MSE)の学科長かつ指導教官のAlexがMSEについて話をした。その内容はざっくり
- 私たちの学科は素晴らしい!過去何年これだけのリサーチインパクトを放って評価されてきた!獲得した投資は~~万$で、、、、云々
- 〜〜年には研究インパクトで全米で何位で〜〜。
- 博士課程の誰々、教授陣の誰々がどの奨学金を獲得している等
といったもので、結構な赤裸々話をしつつ学生に帰属意識を促すものだった。
こっちでは研究に従事するメインの人材がD課程の学生という事情があるものの、常に世の中の動向と自分の研究がどのように結びついてインパクトを生むのか、その結果として競争資金を持ってこれるかどうか。というアイディアを少なからず持っている様だった。
少なくとも、アイディアに乏しい経験の浅い学生でもあんまり適当なことをやっているとデスクを貰えるか怪しくなる程度の意識はありそうだ。
もちろん、こんな話は工学系だからこそ顕著なのかもしれないけども、エンジニアの競争的な一面を早くも見せつけられてしまったという感じだ。
また日本人は働きすぎだ!なんてよく耳にするし僕も日本の研究室では極たまに深夜まで実験をしたりと決してワークライフバランスが良いとは言えなかったけども、少なくともこっちの研究室の人も切羽詰まってる人は深夜まで作業をしている人が見受けられた。成果を出すためにちょっとばかり生活の時間を割く文化は国がどうこうというよりも、本人次第なんだなぁ、と。
因みに、デスクをもらえなくて意気消沈だった自分だが、ワシントン大学には幸い、朝早くから夜遅くまで開いている図書館があり、僕は主にそこで作業をしている。記事のトップ画がまさにこのSuzzalo図書館の中の様子であり、これが結構な建築だ。
ここで勉強してると、なんか自分がめっちゃ出来る奴みたいに思えてくる。(完全に自分に酔っているだけっすねwww)
けども、そんな環境に後押しされてこっちでの僕の研究も少しづつ始まってきた。競争心の強いph.Dに囲まれながら学位取得を狙うのはけっこう疲れそうだが、1年だけ留学としてやってみる分には悪い経験じゃないはず、と言い聞かせてこっちで頑張ってみることにする。
続く